「インナーファイバー」技術とは
通常、特殊素材(カーボンなど)を使ったラケットは、木材の外側に近い層に素材を配置するのが一般的でした。これに対し「インナーファイバー」仕様は、特殊素材を木材のさらに内側(中芯寄り)に配置する設計です。これにより、特殊素材による威力の向上と、木材らしい「ボールをつかむ感覚」を両立させています。
インナーフォース レイヤー ALCは、この設計の代表格として2015年4月に発売されました。「アリレートカーボン(ALC)」は、高強度で柔軟性のあるアリレート繊維とカーボンを編み込んだ素材で、柔らかさと反発力のバランスに優れています。同時発売のZLCは、より軽量でしなやかな「ZLカーボン」を採用し、シリーズの中で最も高い弾みとスピード性能を誇ります。
2016年11月に追加されたALC.Sは、ALCよりもブレードを薄く(6.0mm→5.5mm)設計し、回転のかけやすさと安定性を高めたモデルです。同じアリレートカーボンを使いながらも、ブレード厚と合板構成の違いだけで、まったく異なる打球特性を生み出しているのが興味深いポイントです。
インナーフォース レイヤー全3種 個別解説
インナーフォース レイヤー ALC ― 弾みの高さと使いやすさのバランス
バランス型
反発特性 10.7
振動特性 9.4
厚み 6.0mm
重量 89g
2015年4月発売、インナーフォース レイヤーシリーズの中心的存在です。アリレートカーボンを搭載し、弾みとコントロールのバランスの良さを発揮します。ドライブ時にボールがラケットに吸い付くような球持ちの良さがありながら、スマッシュやカウンタードライブでもしっかりスピードが出せる、攻守のバランスに優れたモデルです。
扱いやすいインナーカーボンの代名詞的存在で、初心者のセカンドラケットからトップ選手のメインラケットまで、幅広い層に愛用されています。「まずどれを選べばいいかわからない」という方の基準にもおすすめです。
インナーフォース レイヤー ZLC ― 威力と安定性を両立した高性能モデル
スピード型
反発特性 10.5
振動特性 9.5
厚み 5.7mm
重量 87g
軽量でありながら弾みの高さとしなやかさを併せ持つ「ZLカーボン」を搭載したモデルです。強くスイングした際の打球の伸びが大きく、中~後陣からでも相手を打ち抜くパワーボールを放つことができます。木材特有の柔らかい打球感を残しつつ、ALCよりも球離れが速く感じられるのが特徴です。
元々は中国のトップ選手・張怡寧選手の「板厚は厚くせず、5枚合板の打球感は変えずに威力を上げたい」という要望に応えて開発された経緯があり、今も世界中の幅広い戦型の選手に選ばれています。一撃の威力を重視する、中~後陣でのラリーを得意とする攻撃型プレーヤーにおすすめです。
インナーフォース レイヤー ALC.S ― 回転量を生かした打球でラリーを優位に
回転型
反発特性 10.1
振動特性 8.4
厚み 5.5mm
重量 85g
2016年11月発売。ALCよりもブレードを薄くし、使用木材と合板構成を新たに設計することで、回転のかけやすさと安定性を高めたモデルです。回転量の多い前陣カウンタードライブを武器に、ラリーを優位に進めたい選手のために開発されました。
3種の中で最も軽量(平均85g)で、振動特性の数値もやや控えめなため、手元でのコントロールのしやすさに定評があります。前陣で素早い技術を多用するプレースタイルや、回転を軸にラリーを組み立てたい選手におすすめです。